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社説|コロナ禍の港町/漁師ら守り市場機能維持を - 河北新報

社説

コロナ禍の港町/漁師ら守り市場機能維持を

 新型コロナウイルスが宮城県の港町にも深刻な影響を及ぼしている。感染の再流行の先行きが見通せない中、豊富な魚種を誇る東北の水産業を支えるため、漁師らを守る手だてを急ぎたい。
 石巻、気仙沼、塩釜の各魚市場では4月に入り、取引価格が下落するケースが目立った。外出自粛の影響で休業や時短営業を強いられた飲食店、宿泊施設からの注文が激減したためだ。
 昨年の水揚げ量が約10万トンと東北一の実績を持つ石巻魚市場。4月単月の売り上げは7億1870万円と前年同月比で3割減った。
 飲食店需要が主となる活魚の値崩れが著しかった。昨年4月に1キロ1400円程度で取引されたヒラメは、ほぼ同じ水揚げ量なのに800円台で推移。旬のシャコエビは相場を3割下回る状況が続いた。比較的堅調だった大衆魚にも波及。年間4500トンを水揚げするギンザケは相場から3割超下がる日が出た。
 宮城の花形と言える魚種への懸念は拭えない。気仙沼市魚市場では24年連続で水揚げ量日本一を目指す生鮮カツオの漁期を迎えるため、関係者の危機感は強い。
 秋には国内有数のマグロ基地、塩釜市の塩釜港にメバチマグロのブランド魚「三陸塩竈(しおがま)ひがしもの」が水揚げされる。水産県を代表するカキの本格出荷も控えており、価格への影響を最小限に食い止めたい。
 旬の魚が消費者に届くまでには漁業者を起点に仲買、加工、運送、製氷といった幅広い業種が関係する。東北の地方都市は中小零細企業が多く、打撃を受けると経営の不確実性が増し、地域経済そのものが揺らぎかねない。
 収入が落ち込んだ漁業者を対象に、宮城県漁協(石巻市)は県と金融機関による無利子融資制度「漁業経営サポート資金」の活用を呼び掛ける。漁協の融資事業も個別相談に応じて要件も緩和しながら取り組むという。柔軟な救済策に万全を期してほしい。
 国の緊急事態宣言は5月25日に全面解除されたが、感染第2波への警戒感が根強く、収縮した経済が元通りになるまで、なお長期を要する。主要漁港は「3密」を避ける予防策を徹底し、魚市場機能の維持に全力を傾けてほしい。
 県沿岸部の水産業や水産加工業では、東日本大震災後に補助金や国の支援制度を活用したものの、販路の喪失から売り上げが回復せず、設備復旧費の返済に苦しむケースも多い。昨年は主要漁港の多くが記録的な不漁に見舞われた。苦境と向き合う中、コロナ禍に追い打ちを掛けられた格好だ。
 港町の再興は、消費者の食を支える働きに加え、被災地の雇用確保や生活再建に結び付く。複合危機を乗り越えるため、基幹産業の維持に向けた支援網を十分張り巡らせたい。

2020年06月04日木曜日


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