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【20年ドラフト選手の“家庭の事情” 】
伊藤大海(投手・23歳・苫小牧駒沢大)=日本ハム1位
◇ ◇ ◇
伊藤が生まれ育った北海道の鹿部町は、函館市より45キロほど北に位置する人口4000人弱の漁師町。タラコや昆布の特産地として知られ、厳冬期はマイナス10度に達することも珍しくない。
■船酔いしながらナマコ漁
漁師である伊藤の父・清光さん(50)の朝は早い。11月のある日も、日の出とともに弟の清文さんと大海へ出た。エンジン付きの小型ボートで水深6〜10メートルほどの沖合に着くと、専用の水中眼鏡で海底の獲物を探す。狙いはウニとナマコだ。「たも網」という、巨大な虫取り網のような漁具を使い、腕を海水に浸しながらかきとっていく。
「船酔いですか? しますよ(笑い)。何年やっていても波の形や揺れ方は毎回違いますからね。私はフェリーでも酔います。それに、ずっと下を見て作業しているのもありますね。年配の漁師さんたちでもゲーゲー言いながらやっているんですよ」(清光さん)
とり放題、というわけではない。漁獲量の制限があるため、1日の最大水揚げ量はウニ30キロ、ナマコ20キロまでと決まっている。
近年、中国のナマコ需要が拡大し、一昨年は1キロが5000円近くの値段で取引されていたが、今年はコロナウイルスのあおりを受けて1キロ2000円ほどになっているそうだ。
清光さんは季節に応じて、ミズダコや昆布、スケトウダラもとる。当然、生活のリズムは時季によってさまざまだ。3月から10月末までのタコ箱漁では夜中から昼ごろまで4・9トンの漁船で過ごす。刺し網漁で行う真冬のスケトウダラのシーズンは、海の状態によって操業時間が変化する。漁に出るのは平均して月に10回ほど。海が荒れた日はタコ箱の組み立てや、仕掛け作りのほか、妻・正美さんの実家が営む農業関係の仕事の手伝いに充てるという。
正美さんは言う。
「私の祖父も一時期は漁師だったので、結婚前は母から『漁師の嫁は大変だよ』って何度も言われました」
当時、小学校で臨時教員をしていた一人娘を案じての忠告だった。籍を入れると正美さんは、海岸から300メートルほどのところにある清光さんの実家で、義父母と夫の弟と妹の6人で住むことになる。
「ですが、実際はそれほど大変な思いをしませんでしたよ。主人の漁は女の手をあまり必要としなかったんです。お義母さんは私が作る料理を何でも『おいしい、おいしい』って食べてくれるような優しい方でした。それに、私は子供たちの時間に合わせて生活していましたから(笑い)」(正美さん)
伊藤は3人きょうだいの長男で、1歳上の姉がいる。だからなのか、幼少期の頃は泣き虫で甘えん坊な少年だった。
「歯医者さんでは病院中に響き渡る大声で『なっちゃーん! なっちゃーん!』って、待合室にいるお姉ちゃんを呼んで、泣き叫んだりも(笑い)。野球では悔し涙することも多かったです。少年野球チームでは大会のたびに監督から渡される『○○賞』ってありますよね。大海はそれを全くもらえなかったんです。帰りの車の中で『なんでヒロだけ……』と、泣いてしまうことが何度もあって。そのたび私は『(皆に)負けてないよ、ママはヒロが一番だと思ってるよ』って励ましました」(正美さん)
精神面を支えたのは正美さん。清光さんも伊藤のサポートに骨身を惜しまなかった。
「(伊藤が野球を始めた)鹿部クラップーズは毎日練習があります。私は(魚介類の)出荷が終わるとすぐ学校に行き、15時半くらいから1人でグラウンドを整備して子供たちを待っていました。監督でもコーチでもなく、バッティングピッチャーとして1日200球は投げていましたよ。大海が野球を始めてからはそっちが忙しくて、趣味だったパチンコには一度も行ってません(笑い)。数年前から末っ子(小学6年)もそこで野球を始めたので、今、私は監督をしています」(清光さん)
伊藤が投げる試合は家族全員で応援に行き、それが一家の楽しみでもあった。
幼少期の頃から熱狂的な巨人ファンだった清光さんは、日本ハムが札幌に本拠地を移してからというもの、二股をかけているそうだ。
日本ハムの二軍寮は千葉県の鎌ケ谷市にある。伊藤は早急に一軍昇格を果たし、家族が待つ北の大地に舞い戻りたいし、家族もそれを願っているに違いない。
○いとう・ひろみ 1997年8月31日、北海道鹿部町生まれ。小学2年から鹿部クラップーズで野球を始め、中学時代は函館東シニアに所属。祖父が漁業用のネットで作った用具で練習に励んだ。駒大苫小牧高では2年春に甲子園を経験し、駒沢大へ進学も1年秋に中退。より良い環境を求めて翌年に苫小牧駒沢大に再入学する。大学日本代表を経験。最速155キロ。釣りが趣味だが、幼少期に父と乗ったボートで船酔いして以来、船釣りはめったにしていない。身長176センチ、体重82キロ。
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November 25, 2020 at 07:26AM
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