魔神は、壺に閉じ込められて最初の数百年は自分を壺から出してくれた者に大金や国王の座を与えようと考えていた。だが、助けは現れず、長い月日が流れる中でしびれを切らした魔神は、ついに「これから先は自分を救った者を殺す」と心変わりしてしまった。
助けた漁師にしてみればたまったものではないが、魔神の気持ちは分からぬでもない。待ちぼうけが過ぎると、待ちわびる気持ちが「遅くなったこと」への怒りに変わるという心境の変化だ。一方、特に待ち望んでもいないものが時機を逸して来たときの気持ちはどうか。
安倍首相が布マスクの配布を公表してから約１カ月半。配布率はまだ数％だ。この間にマスク不足は徐々に改善。さらに、多くの人が布マスクを自作したり、数え切れないほどの個人、団体が地元や施設などに贈ったりしてきた。ここに来て政府のマスクが届いても、どれほど重宝されるだろうか。
国民は魔神のようにじっと誰かの助けを待ち続けたりはしない。国の助けが遅ければ自助、共助でたくましく状況打開へ突き進む。そういうものだ。政府の計画だと、月内には本県にもマスクが届くらしい。実物を手にした一人一人の胸に去来するものは…。
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May 17, 2020 at 04:11AM
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