御前崎市御前崎の駒形神社(高山国臣宮司)で19日、春の例祭が営まれ、同地区の元漁師沢入義二さん(89)が、明治期に活躍したカツオ一本釣り漁船「小早船」の模型を奉納した。
小早船は八丁櫓(ろ)船とも呼ばれ、7~10本の櫓を船員がこぐ。人力だけで御前崎から神津島や三宅島付近のカツオ漁場まで向かい、日帰りの漁業を行ったとされる。16歳で漁師になり、昨年引退した沢入さんは「御前崎の伝統を後世に伝えたい」と一念発起。実際に小早船に乗っていた祖父の故友蔵さんから聞いた話など自身の記憶を頼りに、廃材の繊維強化プラスチック(FRP)を使って約4カ月で制作した。大きさは全長73センチ、幅21センチ。一本一本の櫓や帆など細かな部分も忠実に再現した。
沢入さんは「奉納できたことは最高の名誉。祖父の顔が浮かんで涙が出た。多くの人に(模型を)見てほしい」と語った。
例祭では地元の市立御前崎小5年の女子8人が豊栄の舞をささげた。女子児童(10)は「手の動きが難しかったけど、無事に終えられてほっとした」と笑みを浮かべた。
静岡新聞社
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